マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
最終更新日 2007/05/01
(作成日:2003/02/04) 演奏時間 80分 編成 Fl4(Picc1)、Picc1、Ob3、E.Hr1、Cl3、EbCl1、B.Cl1、Fg3、C.Fg1、
TenorHr1、Hr4、Tp3、Tb3、B.Tuba1、
Tim1、Perc4(バスD、スネアD、Tri、Cym、グロッケン、タンバリン、カウベル、Rute、タムタム)、
Hp2、Guitter1、Mandoline1、弦5部スコア上の名称 Tenor Horn in B 演奏経験 なし
この曲は、熱狂的な音楽であり、昂揚した官能的な喜びを伝える、荘厳な栄光の賛歌である。ところが長々とした短調部分は、この作品のもつ雰囲気を思い違いさせてしまうし、一見これに矛盾しているようにも思わせてしまう。5楽章構成で全体がシンメトリックに構成されている。1楽章と5楽章が金管楽器などで華やかに彩られており、2楽章と4楽章はこの交響曲の標題の示す「夜の歌」となっている。
そのなかで、1楽章に独奏楽器として用いられるのが、テノールホルンである。オケ全体に対して、全くの異質な音色を発することで、独特な雰囲気をかもし出すのが作曲者の意図であると言える。ということで、テノールホルンの出番として、第1楽章の冒頭部分を紹介します。
(譜例 はスコアの1ページ目 演奏例<MIDI>は省略)
この交響曲の始まりで、Tuttiのピアニシモでの荘厳な雰囲気の中、突如としてフォルティシモで現れる。このテノールホルンのソロの主題が、第1楽章の主題提示でもある。非常に重要なパートであると同時に演奏するに当たっても非常に難しいパートである。
まず、何が難しいかというと、音が取り難い調性感であること。その上、細かいパッセージが高い音域で続くので、狭い倍音域の中、違う倍音を吹いても、よく分からないといった状況に陥りがちになります。
出番としては、全体で5分くらいしかありませんので、きちんと音取りをした上で楽器を持っても十分対応できます。また、細かいパッセージについては、基本に戻ってゆっくりから、キチンとさらってゆけば、それなりに対応できます。
しかし、キチンと音が並ぶようになってからがまた難しい。このパートは独奏楽器として設定されているということを忘れてはいけない。つまり、出番の全てがソロであるので、どのように、吹くか(歌うか)はその場所によって変わってきます。冒頭部分では第1主題の提示という重要な役割をも担っているため、難しいものとなっている。ここでは、荘厳な雰囲気の中から、堂々としたフォルティシモのサウンドで歌うことが求められます。プレッシャーに負けずに頑張って吹いてほしいところです。なお、使用楽器としては、上記でも触れていますが、テノールホルンを使用するのが適当かと私は思うが、いろいろな意見もあると思う。私が聴きに行ったマーラー7番は2回あります。チェコ・フィルの時は、楕円形のロータリーのテノールホルン(または、バリトン)を使用していましたが、バーミンガム市響の時は、ユーフォニアムを使用してました。ということで、この場合、指揮者の意図とかその国の文化など、様々な要因は考えられる。
ただ、私の場合は、テノールホルンを使用するのが好ましいと考えている。
@ドイツ系の音楽にはユーフォニアムよりもテノールホルンが合うと思うこと
A一般的に、ロータリーのテノールホルン、バリトンはオーケストラの音色によく合う(と言われている)こと
と言った理由からもテノールホルンで吹いた方がいいと思う。さて、これを読んだあなたのご意見はいかに…。