ヤナーチェク:シンフォニエッタ

最終更新日 2007/05/01


(作成日:2002/03/30)
演奏時間 25分
編成 Fl4(Picc1)、Ob2(E.Hr1)、Cl2、EbCl1、B.Cl1、Fg2、
Hr4、Tp3+9、BassTp2、Tb4、T.Tuba2、B.Tuba1、Tim1(Perc1(Cym、チャイム))、
Hp1、弦5部
スコア上の名称 Tenor Tuba
演奏経験 なし

 

 この曲は、チェコの作曲家L.ヤナーチェク(1854−1928)が、彼の晩年である1926年にチェコの体操協会「ソコール」の第8回全国大会の開会式で演奏する音楽を依頼され、トランペット9本、バス・トランペット2本、テナー・チューバ2本の編成によるファンファーレを作曲したのがきっかけで、その後、このファンファーレを第1楽章と最終楽章(第5楽章)の最後に用いて作曲された曲で、ヤナーチェクの代表作でもある。なお、バス・トランペットのパートには、ティンパニが重ねてある。

 したがって、この曲の場合、冒頭のファンファーレ(第1楽章)だけが、ブラス・アンサンブルの演奏会等で演奏されることも少なくない。所有しているCDも全曲のものはなかなか見つからないが、「ソコール・ファンファーレ」としては、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのものを2枚所有している。

 ということで、テナー・チューバおよびバス・トランペットの出番として、第1楽章の部分を紹介します。

譜例 は省略 演奏例<MIDI>はこちら 第1楽章の冒頭から最後まで

 音楽的には、拍子感覚が分かりにくく、近代的な音楽のつくりとなっている。冒頭から2本のテナー・チューバが5度の並行調で奏す。この上に、拍子感覚を崩すように2本のバス・トランペット、のちに9本のトランペットが重なってくる。9本のトランペットは、最初1声から次第に3声、6声…、を広がっていく。ここに音楽的な広がりも見えてくるから、効果的である。

 さて、テナー・チューバとしては、冒頭から5度の並行調を奏す際、いかにして不気味な感じを醸し出すかがポイントであると勝手に思っている。ちなみに、このパートは、最後まで、1拍以上の休みがなく(4分休符は1箇所のみ)吹きづめであるので、体力的にもオ―バーペースにならないようにしたい。また、1箇所だけ並行調ではなく同じ音を吹くところがあるが、音の厚みを薄くすることでデクレッシェンドなしで、その効果を出すところもある。ただし、それを狙ってそう書いたかどうかはさだかではない。この曲は、ユーフォニアムで吹くかロータリーの楽器で吹くかという問題については可能であれば、ロータリーの楽器を選択されたい。オケと合わせる箇所は、最後のファンファーレの部分でしかないが、曲を作曲した人のいた場所などを考えると、ロータリーのテナー・チューバを使用したほうがいいような気がする。

 次に、バス・トランペットは、2本だが、ずっとa2で奏される。拍子感覚が分からなくなるような音形なので、まずは慣れることが肝心である。中間部あたりから、つかみが遅れると、かなり精密に作られているこの曲が、いっぺんにダイナシになりますので、注意されたい。

 最後に、この曲は、そうそう演奏される機会はないと思います。少なくともアマチュアでは。トロンボーンとしてもかなり活躍する。セクションでのソリ(このソリの中には2ndソロもある)もあれば、1stのソロもある。パートととしては、3rd、4thはペダルGとかも出てくるのでBassTb奏者と集めるべきである。また、Fバルブのないテナーで吹くことはおそらく不可能であろう。また、全曲入りのCDも極めて入手が難しいと思われる。(ネットで購入しようとして、在庫切れで失敗に終わった経験もあります。)

 あまりユーフォニアム吹きのためのオケ曲の紹介としては向いてない曲かも…。