ブラームス
最終更新日 2009/09/02
(目次) 作品番号順
交響曲第1番 ハ短調 作品68 (2004/06/24一部修正)
大学祝典序曲 作品80 NEW
交響曲第3番 へ長調 作品90 (2004/06/24一部修正)
交響曲第4番 ホ短調 作品98 (2004/06/24一部修正)
交響曲第1番 ハ短調 作品68 作曲年 1876 演奏時間 40分 編成 Fl2、Ob2、Cl2、Fg2、C.Fg1、Hr4、Tp2、Tb3、Tim1、弦5部 演奏経験 3回 (1st:2回、2nd:1回) 所有CD サイトウ・キネン・オーケストラ (指揮者:小澤 征爾) 音域 1st(G−A1)、2nd(C−E1)、3rd(C-1−F1) (2004/06/24一部修正)
ブラームス(1833‐1897)の書いた最初の交響曲は、彼が43歳の1876年に完成している。これは、これまでの交響曲作曲家と比較すると、モーツァルトがわずか8歳、ベートーヴェンが30歳、…のように、かなり遅いことが分かる。
しかし、交響曲の音楽に対する彼の野心は、なみたいていのものではなかった。この第1交響曲の最初のスケッチは、実に完成より23年も前の1854年にさかのぼる。ただし、この長い間、ずっとこの曲の作曲に費やしていたわけではないが、その間、何度もスケッチを取りなおし、苦労に苦労を重ねた結果、長い年月を要してしまったということになる。トロンボーンは、前述のとおり第4楽章から登場する。しかも61小節もある長大な序奏部の後半から使用される。しかもすぐに非常に重要なコラールが待っている。
ここは見せ場中の見せ場である。と、同時に、アマチュア・トロンボーン奏者が避けて通れない3大コラールのうちの1つと言えよう。(かなり大袈裟ではあるが、そう言っても過言ではないと思う) ところが、最初のAの音がなかなか発音できない人が多くいます。実は、自分もそのうちの1人だったりします。いかに平常心で臨むかが肝心です。もちろん、周りの人も変なプレッシャーは与えないことです。周りの人は、緊張する姿を見るのが楽しみかもしれませんが、実際に吹く人にとってみれば、そんな余裕は(たとえ表に出さなくても)あるわけありません。ですから、そんな姿を見ても、放っておいてやるのが、本当の親心だと私は思う。いかにもアマチュア的なコメントだが、実際にアマチュアでありますので、悪しからず。あと、音が出てしまえば、難しい和音はありません。ただし、3rd奏者のLowCは、注意が必要です。油断すると、音にならないことがあります。この場合は、コントラFgが、同じことを吹いているので、そのことを上手く利用して、一緒に吹く一体感をもって臨めば、大丈夫だと思います。
また、主要部でトロンボーンの使用されているところは、力強さを表現したいところだけであるので、アマチュア奏者によくある「ブラームスだから」というよく分からない理由で、フォルテでさえも手を抜くといったことでは、ブラームスを吹く資格はありません。ブラームスであるからこそ、骨太で肉厚なサウンドを求めるべきである。そして、全体として大人の味わいを楽しむかのような演奏が望ましい。(限度を守って、冷静なフォルテで) さらに、コーダの部分で、序奏のコラールがフォルティシモで金管主体で現れるが、そこの途中にある2本のトロンボーンの2小節半の休みを吹いてしまっている演奏を極まれに聴くが、これは作曲者の意図として、これに続く2つのコードに力強さを持ってくるための効果であると思われるため、あまり好まれないことだと私は思う。
やはりこの曲のコラールの部分は緊張します。あまりいい経験した記憶はないが、練習の時の前振りは必ず4拍入れてもらわないと、最初のAの音は98%くらいの確率で外します。別に自慢することではないが…。「今度吹く時は…」という思いが強いので、緊張しすぎないようにしたい。そのほかの部分は、不自然に力を抜くと、オケ全体のジャマになるだけなので、特にフォルテの部分はキチンと決めておきたい。
最後に、所有CDについてと言いたい事だが、この曲だったら、有名なオケの演奏であれば、たいていハズレはないと思います。したがって、掲載しているCDについてのコメントは割愛させていただきます。
交響曲第2番 ニ長調 作品73 作曲年 1877 演奏時間 40分 編成 Fl2、Ob2、Cl2、Fg2、Hr4、Tp2、Tb3、Tuba1、Tim1、弦5部 演奏経験 3回 (1st:3回) 所有CD サイトウ・キネン・オーケストラ (指揮者:小澤 征爾) 音域 1st(E−D2)、2nd(Cis−A1)、3rd(E-1−Fis1)、Tuba(As-2−H)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 作曲年 1878 演奏時間 40分 編成 Fl2、Ob2、Cl2、Fg2、Hr4、Tp2、Tim1、弦5部、SoloVn 演奏経験 tacet 所有CD なし
大学祝典序曲 作品80 作曲年 1880 演奏時間 17分 編成 Fl2、Picc1、Ob2、Cl2、Fg2、C.Fg1、Hr4、Tp3、Tb3、Tuba1、
Tim1、Perc2(バスドラム、Cym、Tri)、弦5部演奏経験 1回 (1st:1回) 所有CD なし 音域 1st(D−Des2)、2nd(H-1−F1)、3rd(F-1−Des1)、Tuba(G-2−C1)
悲劇的序曲 作品81 作曲年 1880 演奏時間 14分 編成 Fl2、Picc1、Ob2、Cl2、Fg2、Hr4、Tp2、Tb3、Tuba1、Tim1、弦5部 演奏経験 なし 所有CD なし 音域 1st(Fis−B1)、2nd(C−As1)、3rd(F-1−Es1)、Tuba(A-2−A)
交響曲第3番 へ長調 作品90 作曲年 1883 演奏時間 30分 編成 Fl2、Ob2、Cl2、Fg2、C.Fg1、Hr4、Tp2、Tb3、Tim1、弦5部 演奏経験 1回 (2nd:1回) 所有CD サイトウ・キネン・オーケストラ (指揮者:小澤 征爾) 音域 1st(E−C2)、2nd(C−G1)、3rd(E-1−C1) (2004/06/24一部修正)
この交響曲は、ブラームスが50歳の時、つまり、1883年に完成している。これは、第2交響曲が完成してから6年。第2交響曲と同じで、第1交響曲に比べれば、非常に短時間で書かれている。しかし、この交響曲には、今までの2曲とは違っている点や進歩のあとを多く見せているとも言うことができる。
第1に、全体が小さくまとまっている。ブラームスの4つの交響曲の中で、最も時間が短い。しかし、小さくても、ブラームスのものとしては流暢でよどみがない。さらに、アマチュアが演奏するには、4つの交響曲の中で最難関の1曲と言えよう。特に、第1楽章は、アマチュアオケで練習するには、非常にトレーナー泣かせの1曲と言えるであろう。
この曲は、第1楽章の冒頭で現れる基本動機(F‐As‐F)で統一されているわけだが、第1、第2交響曲の場合とは違って、特に第1楽章だけがこの基本動機を重要視し、他の楽章ではこれまでのようには、こうした基本動機を頻繁には使用していない。それよりむしろ重要なのは、この基本動機の意味するもの、つまり、“自由にしかし楽しく”というモットーの精神が全体を貫いていることである。
さて、この曲におけるトロンボーンは、他の曲と同様に、力強さを必要とするところ、全体的なサウンドに厚みを必要とする部分に使用されている。第3楽章以外で活躍する。言うまでもなく、出番はすべて、重要な使い方である。が、詳細については、割愛させていただく。
最後に、所有CDについてだが、これも世界で活躍するトッププレーヤーの集まったオケであるので、聴いて損はしない1枚だと思う。
(2004/06/24一部修正)
ブラームスにとって最後の交響曲である第4番は、1884年、ブラームスの51歳の時の夏に、とある避暑地にて書きはじめられた。この夏の間に、第1楽章と第2楽章が書かれ、翌年の夏、同じ場所でまず第4楽章が完成し、のちに第3楽章が作られた。この頃のブラームスは、古くからの友人と絶交したり、親しく付き合ってきた人たちも次々とこの世を去ってしまったといったことから、孤独感を感じるようになり、それがその頃の音楽にも影響を与えることとなった。また、この頃、ブラームス派とワーグナー派との対立が白熱化していた。そして、ワーグナー派はブラームスの作品に対して、猛烈な非難を加えてきたが、それだけにブラームスは、いっそうの闘志を燃やし、特に交響曲では完全に一般の支持を得ていた。こんな時にこの交響曲が作曲された。したがって、この曲からは、ブラームスの野心がそのまま感じ取ることができるであろう。
しかし、先にも触れたように、50歳台に入り痛切な孤独感を味わったという一面も各所に覗かせているようである。そして、そんな自分を慰めるかのように、過去のよい音楽を好み、この交響曲でも過去に直接つなげるものにしようと考えたことであろう。今まで書いてきたような昔の音楽や古い音楽の語法をこの交響曲でも取り入れていった。この結果、19世紀末であるというのに、この時代としては、珍しく保守的で古風な交響曲が生まれることとなった。また、このことがトロンボーンを第4楽章だけしか使えなかった理由でもあるのでしょうか?古風な交響曲ということに関して、実際の例を挙げてみると、第2楽章に古い教会音階を取り入れていることとか、第4楽章でシャコンヌの手法を置いたとかに限らず、全体的に対位法を好んで採用し、バロック的な旋律を好んで用いているとか、当時としては、古臭い管弦楽法を採用している点などにもある。しかし、このような特徴を持っているため、周りの人には、「一般に理解されにくいのでは」として、発表を見合わせるようにと忠告を受けていたが、それを押し切って初演を行った。つまり、野心をこの曲に盛っただけに、世に問う力作という自負があったからと考えられる。
この曲でのトロンボーンの1番の見せ場は、なんと言っても、第4楽章の第14変奏からのファゴット、ホルンとともに奏するコラールであろう。
(譜例 練習記号Eより16小節 演奏例<MIDI>はこちら)
しかし、見せ場とは言うものの、直接のソロは、はじめの4小節のみである。あとは、うまく脇役に徹すること。指揮者の好みもあるが、メロディーを吹く人を大きめにして、その他の人は、極力メロディーよりも音量を落とす。ここがポイントでしょう。
最後に所有CDについて、2つともいわゆる寄せ集めオケで、一方は世界の、他方は日本のトップ奏者たちが集まったオケであるので、相当の期待ができるはずである。あとは、それぞれにある好みの問題で、ここは良いけどあそこは良くない等の意見もあると思う。1度、聴いてみてください。
作曲年 1887 演奏時間 30分 編成 Fl2、Ob2、Cl2、Fg2、Hr4、Tp2、Tim1、弦5部、SoloVn、SoloVc 演奏経験 tacet 所有CD なし